2016年 3月 19日
二葉葵への想い
日本橋の丸善のギャラリーで開催されている「草木染めのきものと帯展」のギャラリートークに伺いました。
京都の絞りのデザイナーである寺田豊さんのお仕事の様子はFacebook等でこれまでも存じ上げていましたが、今回は寺田さんを始め、様々な分野での職人さんたちが昨年の上賀茂神社の式年遷宮に際して手掛けた二葉葵での染め物を使った作品を披露していました。さらに、上賀茂神社権禰宜の藤木保誠氏をお招きしてのトークでした。
私にとって上賀茂神社は思い入れのある神社で、何度かお詣りさせていただいています。というのは今日の権禰宜さんのお話にもありましたが、上賀茂神社の御祭神である別雷神の神話ですが、玉依姫が年頃になり、川で水浴びをしていた時に、赤い矢が飛んできて、それを拾って家に持ち帰り、飾っていたら、玉依姫が懐妊し、お子が生まれました、というものです。そのお子が別雷神です。
私が初めて上賀茂神社にお詣りしたのは、8年くらい前でしょうか。ちょっと不思議なパワーを持つ友人のAさんが、「オルチャンを連れておいでって言われている」と言って私を上賀茂神社に誘ってくれたのです。神社の本殿で神官の方に神社の歴史を伺いました。それが先のお話しでした。
びっくりしたことは、神話にあった赤い矢でした。
私は大学時代体育会洋弓部でした。アーチェリーです。矢は自分の好みでシャフトと羽の色を決めて作ります。なんと私は赤いシャフトに赤い羽根の矢を作り、4年間矢を撃っていたのです・・・この偶然に何か私はご縁を感じる神社になっていました。今日は権禰宜の藤木さんにお名刺をいただいて嬉しく思っています。藤木さんは代々賀茂の出の社家だそうです。
今日のお話しでは、葵祭りには、上賀茂神社の御神紋である二葉葵を10000本くらいは必要だそうですが、二葉葵が採れなくて、近年困っていたそうです。その情報を知った福井県鯖江市のある方々がボランティアで二葉葵を栽培し始め、
昨年では5000本以上を寄贈したとの事です。
二葉葵は山葵のように水をたくさん必要とし、栽培にはきめ細かな注意が必要だそうです。でも日本各地で育てられないことはないとの事。
私の庭でも育ててみたいと思いました。苗は4月中旬から上賀茂神社で分けていただけるとの事ですので、その頃に京都に行こうかしら・・・と画策。
そんな貴重な二葉葵の間引いたものを使って、寺田さん達は染めに挑戦なさいました。二葉葵の量が多くない状況の中、試行錯誤を繰り返し、何とも言えないやわらかい色味を染め上げました。
几帳に仕上げたり帯に仕上げたり、それぞれの職人さんが素晴らしい作品にして、上賀茂神社に奉献しました。
それら、二葉葵の染め物を、「葵の想い」と賀茂別雷神社宮司さんが命名されたの事です。
上賀茂神社に伝わる歴史的祭りの継承には二葉葵か欠かせず、また、草木染という形で二葉葵を更に魅力的にしている事を今日のギャラリートークから知りました。
私はフラワーデザイナーという立場で植物と関わりあってきていますが、二葉葵とお近づきになりたいとおもっています。
絹糸の状